アルゴリズム建築コース2日目

こんにちは^^

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です!

先週ついに幕を明けた前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コース!

単なるカタチ遊びに終わらない真のアルゴリズム建築の創造を目指して、アルゴリズム建築という未知の相手との戦いがはじまりました!

 

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それではさっそく第二回目の授業の様子を紹介していきます!

 

アルゴリズム建築講義】13:30〜14:30

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先週第1日目の授業では、「アルゴリズム建築への心構え」の概論の後、「コンピュータ・アルゴリズムと建築デザインをどうやって実践的に結びつけていけばよいのか」について前田紀貞アトリエの実作品を例にとって説明されました。

あれこれ小難しいことを述べても、それが実際に建築作品になっていなければ「建築塾」としては物足りないですよね。
「あなたたちはアルゴリズム“建築”について教えているのだから、実際にもちゃんとしたブツとしての建築を作っていますよね?」
という、塾生たちの当然の問いかけに真正面から答えられなくてはなりません。そこで、『アルゴリズム三部作』と銘打たれている前田紀貞アトリエの実作を例に、説明がされました。

 

 

・ I REMEMBER YOU    

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前田紀貞アトリエがコンピュータ・アルゴリズムを本格的に使った最初の作品です。コンピューテーショナル・デザインの最先端をゆくコロンビア大学建築学部(GSAPP)のProxyという設計集団との協同作業によって設計されました。
この作品では、与えられた敷地条件において、1年間の採光量が多くなるような最適化アルゴリズムを記述し、その結果として現われ出てきた空間・形態を解として導き出しました。また、別のアルゴリズムを用いて「記憶を形象化する」という試みもおこなっています。詳細は塾長のブログ記事その①その②にありますので、是非ご覧下さい。


 

 

・ EAST & WEST    

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この作品では、自律エージェント型のアルゴリズムによるアウトプットに基づいて建築の部屋配置(間取り)を決定しています。なお、本作は建築塾第1期塾生の村山理さんとの協同設計でもあるんです。詳しくは塾長ブログの関連記事でご覧ください。

 

 

・ ENISHI RESORT VILLA

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アルゴリズム3部作>最後の一つは、現在台湾に建設中(2015年竣工予定)のホテルです。本作では、施主と建築家(前田)の脳波を携帯型の脳波測定器により測定し、それをモーフィング(形態変換)した形状から建築空間・形態が導かれています。因みに、このプロジェクトは本コースの演習パートの講師を務める建築塾第3期生・辻真悟(CHIASMA Factory)との協同設計です。

他にも、上棟当日の空の写真(空模様)から外壁の質感を導いた「TORUS」
、空や樹木からモザイクタイルのパターンを抽出し製品化した「INAX モザイクタイル プロジェクト」、天空率から建物の形態を導いた「板橋プロジェクト」などの説明も成されました。

 

 

【プログラミング演習】14:30〜16:30

さて、塾長による「アルゴリズム建築講義」で頭を動かした後は、実際にプログラミングをして手を動かす「プログラミング演習」です!

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前回初めてプログラミングの世界を経験した受講生たち。

普段私たちが目にするWEB上のキレイなホームページやギミックは、すべて「コンピュータ言語」によってコンピュータに指示を与えることにより描かれています。また、パワーポイントやillustratorのようなソフトでは、専用のインターフェース(メニューボタン)を使えば簡単に複雑な図形やレイアウト、アニメーションを作ることが可能です。ところが、直接「コンピューター言語」を使って指示(コード)を記述するプログラミングでは、ごく簡単な図形をいくつか画面上に描くだけでも、たくさんのコードを打ち込まないといけないことに面食らったり、「グラフィックソフトを使えばワンクリックでできる作業を、何でわざわざちまちまコードで描かなきゃいけないんだ?」と疑問を抱いた受講生もいたようです。しかし、一見無駄に思えるこの作業が「コンピューターと直接話す」ための入口なのです。講師の辻の喩えでは、外国旅行に行ったときに現地の人と「指差し会話帳」でコミュニケートするか、その国の言葉で直接会話するかの違い、ということになります。前者でもとりあえずの用は足りるかもしれませんが、旅行を楽しむためには、やはりその国の言葉で直接話す方がずっと自由・豊富で、柔軟なコミュニケーションができますよね。コンピュータ「言語」を学ぶ理由は、コンピューターの豊富な能力を引き出す自由度・柔軟性の獲得にあるのです。

 

さて、早速キーボードに向かって・・・と思いきや、この日は最初に前回の授業の宿題「日常にあるアルゴリズムを見つけなさい」について、各塾生が口頭で発表するよう求められました。そもそも「アルゴリズム」とは「ある目的を達成するために記された手順」のことですから、私たちの日常はアルゴリズムで溢れているんですよね。このように、各自の日常を「アルゴリズムのメガネ」を通して捉え直すことで、アルゴリズム的思考が養われるのです。

 

たとえば「料理」を例にとってみましょう。料理のプロセスを簡単なアルゴリズムとして分析してみると、「材料を買う」→「買った材料を切る」→「切った材料を炒める」→「できたものを盛りつける」といったように記述することができますよね。このように、ある料理を完成させるための流れは、一連の操作(群)を一定の順序で並べたものである、ということができます。

 

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この宿題に対して、ある受講生は「洗濯」を例に取って「スイッチを入れる」→「洗濯物の分別をする」…のように手順をこと細かく列挙してきました。

そのほかの塾生からも、日常の何気ないことから、趣味として興味があることなど、さまざまなものがアルゴリズム的な「手順のセット」として分析できることを示す例が挙げられました。皆、私たちの日常が実はアルゴリズムに溢れていることを再認識したようです。

 

さて次に、講師の辻から「コンピュータの正確性」についての話がなされました。

少しでも経験のある人は知っていると思いますが、プログラミングを行なっていると、プログラマ自身が正しくコードを書いたつもりでも、結構すぐにエラーが出てしまいます。プログラミングを学び始めたばかりだと特にそうなのですが、案の定、この日の塾生たちもエラーを連発 (^_^;)。

テキストのサンプルコードを単純にトレースしていても、ちょっとしたタイプミスや不適切な入力位置などでエラーが出てしまいます(たとえばProcessingでは半角スペースと全角スペースも厳しく区別されます)。こんなとき、初学者は皆さん決まって「ちゃんとコーディングしているのに、コンピューターが何か間違っている」という不満顔をするのですが、講師の辻曰く「コンピューターは絶対に間違えない」のです。(少なくとも現在の)コンピュータの言葉は突き詰めれば「0」と「1」だけからなる数列ですから、その意味(指示)はどこを切っても厳密で曖昧さを排したものとなり、コンピュータは「誤る」ことができない―—だから、間違っているのは(命令を受け取って実行している)コンピュータでなく(命令を与えている)人間の方なのです。コンピューターは自分に与えられた命令を、それがプログラマの意図に合致しているかどうかはお構いなしに、ただただ正確に実行しているに過ぎません。

 

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 ですが、初心者には頭痛の種(?)でもあるこの「コンピュータの正確性」こそが、アルゴリズミック・デザインの大きな武器となるのです。ヒューマンエラーさえしなければ、コンピューターは必ず正確な結果(アウトプット)を出してくれるのです。しかも人間には太刀打ちできないスピードで、疲れも知りません(あまりに負荷をかけ過ぎるとフリーズしたりはしますが…(^_^;))。

 

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アルゴリズム建築コース」の2日目の講義の様子、いかがだったでしょうか?

次回は「最初の山場・繰り返しループ」に踏み込んで熱血講義の様子をお伝えしていきますので、お楽しみに!

 

また、この前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コースが気になってきた方、ちょっと詳細知りたいなって方は、下記URLからこのコースの詳細をご覧下さい↓↓

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】

http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4

 

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴