アルゴリズム建築コース 第9日目/第10日目

こんにちは^^

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です。

 

先週までで、コースの作品制作課題<弔いの場>について、塾生それぞれの「弔いの対象」がほぼ固まってきました。次はそれをどのようにProcessingと絡めてプログラミングを組み、そのアウトプットをどのように建築化/空間化して「弔い」というコンセプトへと接続していくのか、というスタディの第二段階へと進みます。

 

それでは早速、授業の様子をお届けします。

 

      *      *      *

 

アルゴリズム建築講義】13:30〜14:30

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【丹羽案】

シュレディンガーの猫」を弔いの対象として選んだ丹羽、この日はその対象と絡めてプロジェクトの想定敷地を決めてきました。

オーストリアのウィーン、「猫」の生みの親、E.シュレディンガーの墓(下の写真)がある場所です。

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また、アルゴリズミックな処理の方向性として、「生きていると同時に死んでいる」という対立する状態が重なりあうシュレディンガーの猫の不可思議なあり様を、「マッス(mass:量塊)とヴォイド(void:空隙)」や「内部と外部」のように対立する空間概念に翻訳するのはどうだろう、と考えてきました。内部と外部の中間=縁側のような場所に…と連想が進んだところで塾長からすかさずコメントが。

 

 

「「内」と「外」とその中間領域の「縁側」という、いかにもステレオタイプな建築的解釈に即座に当てはめるのではなくて、それらすべてを生み出す根幹、内/外(+縁側)が互いからくっきりと区別することもできず、さりとて交じり合って「縁側」のような別の実体になるのでもない状態を生み出す根源にある「はたらき」を問うことが大事だ」「プログラミングで処理しきれない状態が露呈するようなものを作ったらいいのではないか。例えば、虚数のようなもの…?」など。残念ながら現状ではProcessingで虚数複素数を扱うことはできないのですが、ここで大切なことは、建築とは既存の概念枠の中で明快な科学的解答を出すのではなくて、新たな世界観を発見的に提示することである、ということ。ちょっと難しい話ですが(^_^;)、丹羽自身はこのままではダメだ、ということを何となく肌で感じられたようです。

 

【谷口案】

前回までは「国立駅」を<弔いの対象>として検討を進めてきた谷口ですが、この日、それまで考えてきた「旧国立駅」をやめ、代わりに「テクトニック(Techtonik)」を弔いの対称にすると決断してきました。テクトニックとは、少し前にヨーロッパを中心に一世を風靡したダンススタイルのひとつだそうですが、その短命なブームが去った後は潮が引くように人々の記憶から消えつつあるのだ、とのこと。自身がクラブミュージック&ダンスに強い思い入れのある谷口は、今や過去のものとなりつつあるこのダンススタイルを弔うことを選択したわけです。最終的にはTechtonikダンサー独特の動きに反応して変化するようなダンスホールを作品化したい、と言ってきました。この方向転換に対し、塾長からは「

ダンスや踊りを題材に取るのは面白い。踊りを支えているのはダンサーの意識ではなく無意識化された身体的な「癖」や「暗黙知」のようなものだから、それをデータとして抽出できれば「意識(意図)の建築」から離れて「無意識の動き」を扱うきっかけになりそうだな」とのコメントが。


YELLE A CAUSE DES GARCON VERSION TEKTONIK - YouTube

 

【田中案】

J.ジェイコブスの「アメリカ大都市の死と生」の文章から都市を作ろうとしている田中は、さっそく『アメリカ大都市の死と生」の英文テキストの一部をデータ化してprocessingに取り込み、「ツリーマップ」と呼ばれる方法を使って単語間の関係性をビジュアル化するコードを試験的に書いてきました。元になるデータをどう扱っていいか(どう空間化していくか)はまだはっきりしていないようですが、そういう時こそ逆に「とにかく手を動かして何か(コードを)書いてみる」のも大事です。そうやって何かをアウトプットすれば先生や講師から塾生自身には見えていない部分についてのコメントを引き出せるし、塾生自身もとりあえず出てきた「ブツ」を手がかりに次の一手を見つけられるんです。

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講師辻も「とにかく手を動かしてとりあえずアルゴリズムで形にしてみるという姿勢は、最初のとっかかりとしてはとても良い」とコメント。ただ一方で「単純に単語同士の関係性を抽出しただけでは、著者であるジェイコブスの個性よりも“英語”という言語の文法のパターンが前面に出てしまうのではないか?」とも。

 

データをアルゴリズミックに処理していると次々面白いビジュアルが生成されるのですが、この塾の課題ではそのような<単に面白い形・新規なビジある>をつくるのではなく、そこにその作品が生まれるべき「意味」「筋道」を考えなければいけないのです。濃密なストーリー(筋道)を生みやすい「弔いの場」というテーマの設定もそこからきています。田中はこれから更に踏み込んで、<ジェイコブスのテキスト>というデータから何らかの形へと至る筋道を探っていくことになりますね。

 

 

【太田案】

金子みすゞという詩人の詩から建築空間を立ち上げようとしている太田は「子供のような澄んだ視線から謳った詩や童謡をたくさん書いた詩人を弔うものなので、最終的なアウトプットは子供のための空間にし

たい」とイメージしたまではよかったのですが、そこからあまり先に進めなかったようです。

 

これに対して、塾長や講師からは「頭の中だけで悩まないで、行き詰まった時こそとにかく手を動かせ」とアドバイス。二人とも建築の実務で同じように行き詰まることは日常茶飯事ですが、そういう時こそとにかくやたらにスケッチをしたり、プログラムを書いてみたりと、とにかく「手を動かす」中からふと答えが浮かんでくることが多いそうです。「なぜ?」と聞かれても理論的には答えられないようですが(笑)、建築の大先輩である二人の言葉に、大田も目を開かれたようでした。

 

 

同じ“文字”というデータを「かたち(空間)」に読み替えていくという点では田中と同じ「入口」にいる大田ですが、互いに全く違った「出口」を見出してくれることを期待しましょう(^_^)。

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【松島案】

ジョン・レノンを「弔い」の対象に決めた松島は、作品のストーリーにフィットする敷地を決めてきました。彼が選んだのは、ジョンが狂信的なファンに撃たれて亡くなったニューヨークのダゴタ・ハウス前、セントラルパークの一角。夫人であるオノ・ヨーコが事件後もそこに住み続けたことから考えても、この場所は二人にとってとても思い入れのある場所であり、「弔いの場」を設ける場としてこれ以上ふさわしい場所はないと考えたそうです。

一方で、松島も大田同様に具体的な作品のエスキスは持ってこられず、講師の辻から「まずは、素材として使おうとしているジョンの楽曲「oh yoko」と、ヨーコのパフォーマンスの絶叫をProcessingにデータとして読み込むコードを書くことから始めるように。とにかく手を動かすこと!」との指導を受けました。

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【プログラミング演習】14:30〜16:00

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先週でProcessingの基礎演習は終了し、この日からRhinoceros+Grasshopperによるプログラミング演習がはじまりました。Grasshopperは3D CADとして年々認知度を高めるRhinocerosのプラグインの一つで、グラフィカル・アルゴリズム・エディタ(GAE)で、3D CADによるモデリングプロセスを可視化・拡張するソフトです。

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GAEとは、Processingのようにエディタにテキスト(文字)を打ち込んでコードを書く代わりに、コードの流れや部品ごとの入力/出力関係をより直感的に理解できるようにした「コンポーネント」というパーツ(上のスクリーンショットにたくさん並んでいる電池のようなアイコン)を画面上に並べて行くことでアルゴリズムを記述していくエディタであり、プログラミング(コーディング)に精通していないデザイナーでも使いやすいように工夫されています。

 

ただ、あまりに便利な分、プログラミングについて基本的な理解がないままGrasshopperのようなGAEを使ってしまうと、いつまでたっても通り一遍、マニュアルどおりの使い方になってしまいがちなのです。また、基本的には予め用意されたコンポーネントに機能がパッケージされているので、Processingのような従来型の(文字による)コーディングと比べると自由度や可変性も劣ります(あくまで一般論ですが)。ですので当塾では、まずProcessing演習で「プログラミング」や「アルゴリズム」一般についての基本的な知識や感覚を身につけてからGrasshopperを学ぶことで、それぞれの長所を活かして適材適所に使い分け、組み合わせることを教えているんです。

  

Rhinoceros+Grasshopper演習の第一回目となるこの日は、ソフトの具体的な使い方に入る前にわたくし不肖・殿村がこれらのソフトが用いられた最近の作品例を簡単なスライドショーで説明しました。例えば、最近何かと話題のザハ・ハディド氏による国立競技場コンペ案や、

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アントニオ・ガウディによるサグラダ・ファミリアの施工検討にもGrasshopperによる検討がなされています。

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今まで、高性能3D CADによるグニャグニャのデザインはおしなべて施工困難だと言われてきましたが、近年は設計から施工、さらには竣工後の管理までを一元管理するBIM(Building Information Management)システムの普及によって施工ラインに繋げるデジタル・ファブリケーション技術の進歩により、年々施工が容易になりつつあります。このような流れは、今後さらに加速することでしょう。

 

塾生は、このアルゴリズム建築に注目が集まる建築界での大きな流れの中で、今一からコンピュータープログラミングを学んでいる自分を見つめ直し、この先必ず来るアルゴリズム建築の未来を想像していたように思います。

 

今後さらに注目されることになるアルゴリズム建築に興味がある方は、是非、前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コースをチェックしてみてください!

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】

http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4

 

いかがだったでしょうか?次回は、引き続き「弔いの場」のエスキスをレポートしていきます!お楽しみに^^

 

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴

 

アルゴリズム建築コース 第7日目/8日目

 

こんにちは^^

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です。

先週に引き続き、塾生エスキスの様子をお届けします。

 

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アルゴリズム建築講義】13:30〜14:30    

 

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【丹羽案】

先週ピックアップしていたリストから、<シュレディンガーの猫>を弔いの対称として選んできました。有名なのでご存知の方も多いと思いますが、理論物理学者のE.シュレディンガー量子力学批判のために発表した思考実験の主役(笑)のネコです。詳しくは上記リンクにまとめられていますが、ざっくり言うと「量子力学の解釈に従って確率的に放射能が発生する箱の中に入れられた猫は、誰かが蓋を開けて観測するまで「生きている状態と死んでいる状態が重なりあって存在する」という、常識的に考えるとよく分からない矛盾した状態になるというものですね。

このように、物質の状態が「生(1)」と「死(0)」を確率的に含んで、いわば二つの極の間を振動しているような状態を、コンピューターでシミュレートできないか?と丹羽は考えてきました。「シュレディンガーの猫を弔う」というコンセプトの奥には、古典的な「計算可能性」を弔うという深遠なテーマも見え隠れします。とても挑戦的なテーマですが、うまくモデル化・建築化ができたら、今まで見たことがないものが出てきそうですね(*゚∀゚)。

 

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【谷口案】

先週<笑っていいとも!>や<今朝食べた朝食>など、ちょっとおかしな(笑)「弔いの対象」候補リストを持ってきた谷口が選んできたのは、中では意外と穏当な「国立駅舎」。。実際は旧駅舎が既に壊され、新駅舎が建設済みだそうですが、谷口は改めて旧駅舎の要素をアルゴリズムを用いて分解・再構成して、新しく新駅舎のファサードをデザインしてみたい、というイメージを持ってきました。

 

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【田中案】

ジェイン・ジェイコブスの名著『アメリカ大都市の死と生』のテキストデータから単語や文字の関係性を取り出し、それに基づいて近代都市計画的な都市の街区(地)と建物・街路(図)の関係を批評的に再構成してみたい、と考えてきました。磯崎新氏が主導した「海市」のような、ある初期条件と相互関係のルール(アルゴリズム)にもとづいて自己組織化し、生成変化するような都市計画のイメージでしょうか。スケールが大きくてこれも一筋縄ではいかないコンセプトですが、どんなふうに進めていくのか、興味深いですね。

 

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【太田案】

先週挙げてきた弔いの対象の中から太田が選んだのは「金子みすゞ」という詩人。その名前に心当たりがなくても、一時期CMでよく流れていた「こだまでしょうか」の作者と言えばピンとくるかもしれませんね。彼はよく彼女の詩を読んでいたそうで、山口県出身の彼女の詩には、花や木、月など自然に関わることばが多く出てくるのだそうです。

手はじめの試行として、太田は彼女の詩を分析して3タイプに分類したり、詩を音(ひらがな)のレベルまで分解してそれを建物のレベル差に変換することで面白い空間が出てくるのでは?という検討をしてきました。

 

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【松島案】

松島はジョン・レノンを弔う対称として選び、さらにジョンの夫人でアーティストでもあるオノ・ヨーコと絡めていきたい、というコンセプトを持ってきました。ジョンの「Oh Yoko」という曲と、ヨーコがMOMAで行った叫びのインスタレーションの音声をProcessingで解析し、2つを空間的に重ね合せて表現することで、ジョンの死によって中断された二人の再結合を企てたい、という提案です。

 


John Lennon Oh Yoko! - YouTube

 


VOICE PIECE FOR SOPRANO & WISH TREE at MoMA, Summer 2010 by yoko ono - YouTube

 

まだまだコンセプトの段階なので、それぞれどのようになるのか、当の本人たち以外にはイメージしにくいかも知れませんが、それぞれ全く違う方向になりそうで楽しみですね。各人が自分のコンセプトをどうやってアルゴリズミックに処理し、それを空間作品に消化していくのか、乞うご期待!です。

 

【プログラミング演習】14:30〜16:00

 

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プログラミング演習の7・8回目は、<forループ><配列(array)>に続き、Processing習得の第三の難関「オブジェクト指向プログラミング」です。この山をきちんと越えられれば、プログラミングの世界の視界が一気に開けてくるところですが、三つの難関の中でも一番理解にてまどるところでもあります。当塾では、有名なシミュレーションモデルの一つである「セル・オートマトン」のシンプルな例を用いて、できるだけ具体的なイメージを与えながら丁寧に解説していきます。

 

またまたざっくり言うと<オブジェクト指向プログラミング>とは、固有の「属性(プロパティ)」と「振る舞い(メソッド)」を備えたたくさんの「オブジェクト」の集合としてプログラムを構築する手法のことを言います。例えばTVゲームのスー●ーマリオで、プレーヤーが操作するヒゲの配管工や、敵キャラクターである歩くキノコやトゲトゲのカメなどは、それぞれに固有の動きを持っていて、そういう「オブジェクト」が集まってあのゲームが成り立っていますが、そんなイメージです。ここでは詳細は省きますが、この方法論を使うとプログラムの効率や編集性が格段に上がるため、プログラミングの世界ではもはや基本になっているといってもよい考え方です。

 

例えば、この考え方を利用して、有名な非線形秩序生成シミュレーションの一つである「セルオートマトン(CA)」をコンパクトなコードでプログラミングすることができます。セルオートマトンとは、ごく単純な「生/死」を決めるルールを与えたコマ(セル)をグリッド状に敷きつめて時間を経過させるシミュレーションで、単純な割には生命現象や結晶の成長、乱流といった複雑な自然現象に通底する豊かな結果を与えてくれる計算モデルです。

 

少し具体的なことをかくと、基本的なセルオートマトンの場合は全てのセルが同じルールに従って「生(黒)/死(白)」を決めていくので、このセルを「オブジェクト」としてプログラミングしたあと、それをグリッド状に敷き詰める、というコードを書きます。アウトプットは、例えば次の動画のようになります。

 

 


cellauto - YouTube

 

実はこのコード、Processingのオープンソース性があるため、ネットで簡単に手に入れることができます。

そのコードは以下のようになります。

 

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ただ、これを最初からそのままやろうとすると大変ですし、理解しないまま何となくエディタに書き写すだけではプログラミングの作法が体得できません。当塾では、今まで習ってきた単純なプログラムを少しずつ「セル・オートマトン」のプログラミングに書き換えて、ステップバイステップで近づけていくという風に授業をしています。

そうすることで、最初は、あまりの難しさに不安そうだった塾生たちも、順を追ってプログラミングをすることでしっかりと理解できたようでした。


cellauto_vv - YouTube

 

ちなみに、セルオートマトンはセルの「生/死」のルールを少し書き換えるだけで、アウトプットが劇的に変わります。ちょっとした変化(例えば遺伝子のほんの一部)が変わるだけで出力(表現型)が劇的に変わる、というのもどこか生命現象に通じるところがありますよね。たとえば上の動画は、セル変化のルールを「ヴィシニュアック・ヴォート」と呼ばれるものに書き換えたものです。メインコード自体は全く同じで、ルールだけが少し違うのですが、結果的に出てくるものは随分違いますよね。プログラムの中で本の数行を書き換えるだけで、こういう試行がどんどんできること、必ずしも結果を予測できなくても、どんどんトライアル&エラーができることが、アルゴリズムを用いたコンピューター・シミュレーションの面白さ、有用性のひとつである、ということの分かりやすい例でもあります。

 

塾生たちは、初めて自分のモニター上で動くセルオートマトンに興奮気味(?)でした。コードは少し複雑になってきましたが、コンピューターの中にある“自然”の手触りを感じ取っていたように思います。これらのプログラミングをどのように設計に活かしてくれるのか楽しみです!

 

 

少しでも、このブログに書かれている内容に興味を持ったなら、是非、前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コースで受講されてみてはいかがでしょう?

コース詳細は下記URLよりどうぞ!

 

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】

http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4    

 

いかがだったでしょうか?次回は、引き続き「弔いの場」のエスキスをレポートしていきます!お楽しみに^^

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴

アルゴリズム建築コース 第6日目

 

こんにちは^^

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です。

この日からアルゴリズム建築の創作を目指した設計課題のエスキスがはじまりました!

どんな提案がなされるのか、とても楽しみです^^

 

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それでは早速授業の様子をご紹介します。

アルゴリズム建築講義】13:30〜14:30

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前回まででアルゴリズム建築の創作に最低限必要な思想の講義は終わり、この日で6回目となる今回の講義から、塾長による設計課題のエスキスがはじまりました。塾生たちの熱い戦いが幕開けです!!

 

設計課題のタイトルは『弔いの場』。コンピューター・アルゴリズムという、一見冷たい機会的な響きのあるアプローチと「死/弔い」という人間的な感情の極点といえるようなテーマをどのように結びつけるのかが問われる難しい課題に、これから数ヶ月をかけて各人が挑みます。単にプログラミングを学ぶだけではなく、それを如何にして「建築」へと昇華させていくのかを問う前田紀貞建築塾ならではの課題。塾生たちに示された課題概要は以下のとおりです:

 

 

アルゴリズム建築コース設計課題 『弔いの場』】

一人ないしは複数人の故人を選考し、その人のための【弔いの場】を計画する。

当然のことながら、今回は今までの課題で訓練をした、初歩のアルゴリズムを駆使することで、自分の“手”や“頭”からは、決して発想のできなかった地点にまで、創造の可能性を広げ、己の限界を打ち破ってみることを試みていただきたい。この無私なる方向が、今回は最も大切なことである。

尚、【弔いの場】とは、墓であってもよいし、墓石であってもよいし、故人を忍ぶことのできる空間であってもよいし、故人の記憶を埋蔵させたモニュメントでもよいし、記念館でもよいし、それ以外のものでもよい。

敷地もまた自由であることより、それは都市部でもよいし、海辺でもよいし、山中でもよいし、時には車中や室内であることも可能だし、提案によっては、自分の“意識の中”ということすらも可能性としては設定し得る。

当然のことながら、構造や機能への整合性を問うことはしない。

提出物、その他一切も設計者の自由によるものとする。

 

以上の課題文を元に、塾生各人が「弔いの場」について考えてきました。エスキス初日であるこの日は、いきなり具体的な作品のコンセプトや形態を問うのではなく、弔う対象、すなわち「何を弔うのか?」を各人10個ほど考え、リストアップして来てもらいました。塾生各人が持ってきた各人各様のの提案は次のようなものです:

 

***

 

【松島案】

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トップバッターの松島は、<ジョン・レノン><季節><ホームラン><リカルド・リゴレッタ>…などを弔う対象の候補に挙げてきました。人物だけでなく、「季節」や「ホームラン」(笑)など、抽象的な概念もあるのが面白いですね。中でも、多彩な色を使うリゴレッタを弔う対象にしたときのアルゴリズムの使い方のイメージとして、通常は色彩理論やデザイナーの好みによって意図的に計画される「配色計画」をアルゴリズミックに計画できないかと考えていました。彼はもともとリゴレッタに憧れていて、彼の事務所で働きたいと考えていたそうです。とても思い入れのある対象を考えてきていました。

塾長からは「どの案でいくにしろ、結果として最終的にアウトプットした作品にどこか弔いの対象の持つ“らしさ”がにじみ出ていないと面白くない。非線形的に作れば何でもよい、という訳ではないことを意識してくれ」とのコメントがありました。単なる不思議な形を生み出せばいい、ということではないんですね。

 

【谷口案】

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2番手の谷口は、<桜><今朝食べた鶏肉><21世紀><笑っていいとも!><共産主義><四谷アートステュディウム><国立駅舎><ガラケー>などを挙げてきていました。いずれも目の付け所が面白いですが、日常的なものからスケールの大きなものまで色々混ざっているのがいいですね(*゚∀゚)

講師の辻も「弔う対象としてどれも面白そうで、中でも「笑っていいとも!」はテレフォンショッキングの相関図をアルゴリズムのパラメーターとして使ってみたら何か面白いものが出てくるかも…」とコメントしていました。

また、塾長からは「共産主義」は“弔い”の対象として少し抽象的すぎるから、例えば<チェ・ゲバラ>など、個別性の強い対象に絞った方が面白くなる。また、自分だけが知っているものではなくて、世間一般に知られているものを弔う対象とした方が、共感を得られやすく案として面白くなるだろう」とのコメントがありました。

 

【丹羽案】

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3番手・丹羽は、<ある人の思い出><腐敗するプロセス><ワールドトレードセンター><STAP細胞><時間/距離><3.11の被災者><ニルヴァーナ(バンド><ラオウ(漫画「北斗の拳」のキャラクター)><あしたのジョー><ピラネージ><建築様式>などを弔う対象として挙げてきていました。時事ネタや個人の趣向が色濃く出てくるのもこの案出しの段階の面白さですね。

塾長からは「クラシック、バロックロココ…等の個別の様式ではなく<建築様式>という考え方それ自体を弔うという案は面白い。また<ピラネージ><あしたのジョー>などは、独自の濃密な世界観/イメージを背負っているので、弔うストーリーを考えたときにはアドバンテージがあるだろう」といったアドバイスがありました。

 

【太田案】

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今回のアルゴリズム建築コース塾生の中で唯一の大学生・太田は、<金子みすゞ(童謡詩人)><安斎水丸(イラストレーター)><佐野実(ラーメンの鬼)><永井一郎サザエさん磯野波平役の声優)>など、いずれも最近なくなった人物たちを弔いの対象として挙げてきました。

辻講師は「この中で<金子みすゞ>の「詩」を、言葉の意味・音・文字などが重層してイメージを生む“非線形の言語芸術”と考えると、アルゴリズム的思考/手法との親和性も高く、面白い案につながるのではないか?」とコメント。

また、塾長からは「極端に言えば敷地は具体的な場所でなく、“脳内”や、もっと抽象的な、実在しない場所でもよい。また、人の提案を聞くとそれが魅力的で1つの正解だと感じてしまいやすいが、むしろ他の人との差別化がオリジナリティにつながることを意識してほしい」とのアドバイスがありました。まさに、互いに「弔う対象」案を発表しあう個の場が、各人自身のオリジナリティを確認できる場でもあるわけです。

 

【田中案】

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ラストバッターは田中徹。彼は建築が専門ではありませんが、このコースで学べることが自分の仕事に活かせる部分が多そうだ、という直観に従ってこの日から(!)途中入塾した塾生です。彼が考えてきた弔いの対象は、都市計画分野の古典の一つとして名高い『アメリカ大都市の死と生(Death and Life of Great American Cities)」の著者、ジェイン・ジェイコブス(Jane Jacobs)。不動産の企画やマーケティングに関わる彼は、この課題を通し、この本の中で彼女が批判したスラム・クリアランス(スラム地域の再開発)に対して、地域のアイデンティティを漂白しないような新しい手法を発見したいと考えてきました。自分がやっていることにグッと引きつけた案で、強いモチベーションが働きそうなコンセプトに、塾長も「面白そうだからこの方向で進めてみてくれ」と後押しです。。

 

***

 

塾生は各人各様、面白い着眼点からそれぞれ可能性を感じる弔いの対象を考えてきていました。次回はこの日に受けたアドバイスを踏まえて案を絞り込み、徐々に具体的な案の検討へと進んでいきます。

 

【プログラミング演習】14:30〜16:00    

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設計課題「弔いの場」エスキス(約1時間)が終わると、頭を切換えてプログラミング演習が始まります。

この日の講義の主題は「パーリンノイズ(Perlin noise)」。これは、完全にランダム(バラバラ)な乱数に対して、“ある程度の連続性を持った擬似乱数的な数列を生み出すアルゴリズムのこと…もっと簡単にいえば、「ある程度秩序を持ったランダムさを生む方法」のことだと思って下さい。

身近なもので言えば、例えば「雲」のイメージ。雲は一つとして同じではありませんが(そもそも境界も定かではないですね)、それでも「雲」と認識できますよね。これは、雲の素材である水の分子が基本的にはランダムに分散しながら、完全にバラバラではなく一定のまとまり=秩序をもって空に浮かんでいるためだと言えます。そして、まさにこの「雲」のイメージを、パーリンノイズを用いてprocessingで次のように擬似的にシミュレートすることができるんです。

 

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1つ目の画像は解像度が粗くてあまり雲っぽくありませんが、2つ目は雲や煙の白黒映像だと言われても分かりませんよね。3つ目も雲のように見えますが、よく見ると大きさの異なる半透明の白い小円がグリッド状に配列されているのだと分かります(この画像を出力するコードでは、この小円の大きさをパーリンノイズで決め、隣り合うセルで緩やかに連続性を持つようにコントロールしています)。

 

<雲>という、私たちが普段目にする“自然”の現象を、コンピューターの中に再現(シミュレート)することができるのです(厳密に言うと、この描画のルールは雲の物理的な生成ルールとは異質なものですが、その底に流れる「秩序あるゆらぎ」という原理は同じです)。塾生も、PCの画面に映し出された雲にとても驚いていました。

 

 

ところで、上にも書いたとおり、この日から途中入塾の田中が加わりました(*゚∀゚)!

彼は方は、ある日ふらっとBAR典座(前田紀貞アトリエが経営するバー)にやってきて、途中入塾は可能かどうか尋ねてきたんです。アルゴリズムを今後どのように使いたいかというヴィジョンが明確で、学ぶ姿勢にとても熱意が感じられたので、急遽今日の講義に間に合うよう、平日にこれまでの講義内容の補講を行い、晴れて合流を果たしました。この塾では、やる気のある方は大歓迎なので、このくらいのハプニングは日常茶飯事です(^_^;)。。

 

また、当塾のアルゴリズム建築コースでは、忙しい社会人ために、平日の夜、日曜日、土曜日の講義前など、塾生の都合に合わせて欠席した講義分のサポートにも力を入れています(講師も建築実務があるので「いつでも対応可」というわけには行きませんが…)。忙しくて定期的に土曜日に出席できない!という方は、補講によるサポートもあるので気軽に相談してくださいね。

 

前田紀貞

 

建築塾【アルゴリズム建築コース】

http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4

 

いかがだったでしょうか?次回は、引き続き「弔いの場」のエスキスをレポートしていきます!お楽しみに^^

 

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴

アルゴリズム建築コース 第5日目

 

こんにちは。

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です。

今日で早くも5回目を迎えました。受講生もすっかりこの塾の雰囲気に慣れて、盛り上がってきました^^

 

***

それでは早速5日目の授業の様子をご紹介します!

 

アルゴリズム建築講義】13:30〜14:30

この日は塾長が出張のため、プログラミング講師である辻による臨時講義が行われました。

いつもとは違う雰囲気で、受講生も改めて気を引き締めて講義を聞いていました。

 

【プログラミング演習】14:30〜16:00

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この日のプログラミング演習は、Processing第一の山場「forループ」に続いて、第二の山場「配列Array」の講義でした。この「配列Array」はなかなかの強敵で、ここから急にコードが複雑になってきます。逆に言うと、これを乗り切れば、いわゆるコードらしいコードが書けるようになるのです。

 

 

さて、「配列」という言葉は、CADや3Dモデリングソフトを使っている人であれば、「配列複製」などでよく目にする言葉だと思います。複数のオブジェクトが均等に列となって配置される機能ですよね。このように複数のデータを扱う、という点では、Processingでの「配列Array」も基本的に同じイメージで考えることができます。

言葉で説明すると「配列とは、同じ意味を持つ複数の変数を1つにまとめて扱うための手段」となります。

言葉だけの説明だと分かり辛いので、この「配列Array」を使うとProcessingでどのようなことができるのか、簡単な例をいくつかお見せしましょう。

 


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上の動画のように、複数の円を異なるスピードで大小に拡大縮小させたいとき、それぞれの円の半径には変化の速さを表す変数が1つづつ与えられています。例えば、1つ目の円は1秒に20ピクセル、2つめの円は1秒に15ピクセル…のような感じですね。これを

配列Arrayを使わずに単純にプログラミングすると、それぞれの円の半径を表す4つの異なる変数(r1・r2・r3・r4)についてその増減を計算するコードを別々に書かなければなりません。4つならまだ何とかなりそうですが、例えば1000個の円を異なるスピードで動かしたいとなると、単純に1000行の変数のコードをプログラミングしないとならないということですね。また、計算のルールを少しでも変えたくなったら(例えば変化のスピードを2倍にしたい、など)、また全ての行に「×2」を書き加えていかなければならず、かなりの根性と気長さが必要になります(><;)。。

 

そんな時にコーディングをグッと効率的にしてくれるのがこの「配列Array」です。

動かしたい円が4個だろうと1000個だろうと100,000個だろうと(コンピューターの処理能力が及ぶ限りで、ですが)この「配列Array」と前回説明した<forループ>を組合せて使えば、全ての円の半径を表す変数を一つにまとめることができ、円の個数に関わらずほんの数行でコーディングできるんです。

驚きですね(*゚∀゚)!

 

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前述の円の例で具体的にいうと、<半径>と名前をつけた仕切り箱を用意して、この箱の中に実際の値をどんどん入れていくイメージになります(図参照)。こうすることで、個々の変数を一つ一つ呼び出す代わりに「<半径>という箱の◯番目に入っている値」という形で呼び出すことができ、コーディングがずっとシンプルに、分かりやすくなるんです。

 

※専門用語では、この箱を「配列」、それぞれの値(要素)に順番につけられた番号を「インデックス」といい、<配列名+インデックス>で要素(データ)を呼び出す、ということになります。また、全要素を一気に処理したい場合(例えば全ての要素に2を掛けたい)ときには、個々の要素ではなく箱(配列)に直接演算を施すこともできるので、1,000個の要素に2を掛ける処理がたった1行でできてしまうのです。

 

 

 

このように、プログラム内で同等の性質・意味を持つ複数の変数をまとめて扱いやすいように管理する機能(考え方)が「配列Array」で、Processingのみならずほとんどのプログラム言語に実装されている基本機能です。

Processingで複数の変数を扱うときに「配列Array」なしでプログラミングすることも可能ですが、その場合とんでもない行数のコードを書かなければならず、変更・修正の都度膨大な手間がかかるので、プログラミングを学ぶならば早い段階で必ず習得すべきものの一つなんです。

 

こんな便利な「配列Array」ですが、考え方と文法がちょっと独特なので“良薬は口に苦し”とはよく言ったもので、すぐに理解するのがなかなか難しい部分なんです。それまで余裕の表情を見せていた塾生たちもこの「配列」には苦戦(-_-;)していて、授業中何度も質問が出ました。

しかし、これは誰もが通る道なのです!講師である私たちも同じ経験をしたからこそ、この部分は特に、できるだけ丁寧に、全員が分かるまで説明します^^

 

塾生たちは第一の難関「forループ」を乗り越えているので、きっとこの第二の山場も乗り越えられるでしょう。

たくさん復習して乗り切りましょう^^

 

 

いかがだったでしょうか?次回はお待ちかね、アルゴリズム建築コースの設計課題「弔いの場」のエスキスが始まります!設計課題「弔いの場」と塾生たちの戦いをご紹介します。お楽しみに^^

 

また、この前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コースへの入塾を検討したい方や、もうちょっと詳細知りたいなという方は、下記URLからこのコースの詳細をご覧下さい↓↓

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4

 

 

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴

 

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アルゴリズム建築コース4日目

こんにちは^^

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です。

この日はいつもと時間割を変えて、このコースとは別の『設計演習コース』の第一課題発表会が行われました。アルゴリズム建築コースの塾生たちは、この発表会にオーディエンスとして参加し、建築のあたらしいつくり方や、自分の作品を分かりやすく、魅力的に相手に伝える方法を学びます。

 

経験が浅いうちは、自分が発表者の側に立つとどうしても相手(聴いてくれる人)の視点がおろそかになりがちですから、こういう場でプレゼンテーションを「聴く側」になってみることは大事な経験ですよね。また、設計演習コース塾生のプレゼンに対する塾長やアトリエスタッフの熱いコメントや発表者とのやりとりに触れることで、この「前田紀貞建築塾」で建築に臨む姿勢を改めて感じることができるんです。

 

      *      *      *

 

それでは早速第4回目の授業の様子をご紹介します!

 

【『設計演習コース』第一課題発表会】

14:30〜18:00

冒頭に書いたとおり、この日はいつもの「アルゴリズム建築講義」に代わって『設計演習コース』の第一課題発表会が開催されました。アルゴリズムコースの塾生たちは、設計演習コースの塾生たちによる熱いプレゼンテーションを見学します。作品の完成度やプレゼンの技量は人それぞれでしたが、コースは違えど同じ立場である『設計演習コース』塾生たちのプレゼンと、それに対する塾長やアトリエスタッフの講評に直に触れ、アルゴリズム建築コースの塾生たちもいろいろと得るものが多かったはずです。

『設計演習コース』第一課題発表会の様子については前田紀貞建築塾のブログに詳しくまとめていますので、ぜひご覧下さい!

 

【プログラミング演習】13:00〜14:30

この日は上記の課題発表会が開催されたため、発表会前に開始時間を確保してプログラミング演習を行いました。こんなふうに臨機応変に(もちろん塾生たちの都合や要望を聞きながらですが)時間や内容を調整して授業ができるのも、少人数制・徹底指導が売り(の一つ)の前田紀貞建築塾ならでは、です。ちょっと自画自賛…(^_^;)?

 

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さて、この日のプログラミング演習では、過去3回分の講義内をしっかり理解できているかを確認するためのProcessingミニテストを行いました。テキストに示されたコードを自分のPCでトレース(模写)しているときは何となく理解している気になっても、いざ別の形で理解度を問われると勝手が違うようで、塾生たちは既に習った内容でも意外に苦戦していました(^_^;)。

 

たとえば、出題されたのは次のような問題です(Processingを知らないひとにはチンプンカンプン(*_*)かも知れませんが、お許し下さいm(_ _)m)。

それでは第一問!

 

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つづいて第二問!

 

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いかがでしょうか?Processingを知らない方のために補足すると、これらの問題はプログラミングの基本となる「デバッギング(エラー箇所の特定と修正)」と「コードの中での数式(算術記号)の意味」にどれだけ頭が馴染んでいるかを測るための問題になっています。

 

他にも色々な問題が出されましたが、このミニテストの大きな狙いは、受講生のProcessingの理解度を測ることはもちろん、それ以上にProcessing習得の大きな“落とし穴”に気付いてもらうことにあるのです。

 

その“落とし穴”とは、Processingの講義を聞きながらコードをトレースしていると、“意外と簡単で分かった気になってしまう”ことです。授業(受け身)では理解したつもりでも、いざ能動的に「コードの間違いを探しなさい」とか「ある絵が出力されるコードを書きなさい」と言われると、とたんに手が止まってしまう人がたくさんいます。どんな学習でもそうですが、教科書を読んだり授業を聞いたりしているその場では理解できた気がしていても、後になってみると自分で答えを導くのは難しい、ということはよくありますよね。つまり本当の理解と「理解した感じ」とは別物なんです。

 

Processing学習の場合で言えば、ただ無頓着に例題のコードを写していたり、意味も分からずコピー&ペーストをしていると、(それでもコード自体は動いてくれるので)このように理解した「つもり」になってしまいがちです。特にProcessingのようなオープンソース言語の場合は、初学者ではすぐに書けない・読めないような複雑・長大なコードもネットに無料公開されているので、それをコピー&ペーストして実行すると、それなりに複雑で迫力のある結果が得られてしまうのです。そうすると「俺って意外と理解できてるな!だってこんな複雑な結果が得られたんだから」と勘違いしてしまったりするのです。(そんなことないだろ!と思うかもしれませんが、本当によくある話なんです。かく言う僕も昔は…(^_^;))

 

ではどうすれば本当に「理解」できるのか。そこで大切なのは、ひとつひとつのコードが何を表していて、どういう結果が得られるのか、丁寧に解析することです。コードひとつひとつで何が起こっているのか説明できるようになれば、ほかにも応用できるし、間違い探しなど朝飯前になります!外国語で「旅先で使えるフレーズ」(コンテキストが限定された応用の利かない言葉)だけを覚えるのと、単語や文法の意味や用法を丁寧に学ぶのとでは、学習の「深さ」が違いますが、それと同じようなことがプログラミングの学習についても言えるのです。

 

この演習を通して、塾生たちには各自の現時点での理解度を確認してもらえたと同時に、この“落とし穴”にも気付いてもらえたようです。こうやって「できないこと」にハッキリと気づくことが、次のレベルに進むモチベーションになるんですよね。

それでは皆さん、気を改めて引き締めて頑張っていきましょう!^^

 

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いかがだったでしょうか?次回のプログラミング演習では、Processing第2の難関「配列(Array)」を扱います。最初のころは「以外に簡単じゃん」という顔をしていた塾生たちも、段々と表情に余裕がなくなってきたような…(^_^;)。お楽しみに!

 

また、この前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コースが気になってきた方、もう少し詳しく知りたいな、という方がいらっしゃいましたら、ぜひ前田紀貞建築塾ウェブサイトでこのコースの詳細をご覧下さい↓↓

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】

http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4

 

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴

 

アルゴリズム建築コース3日目

こんにちは^^

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です!

授業もこの日で3回目となり、受講生はアルゴリズム建築を創る上での思想や、Processingの基礎を少しずつ吸収してきていると思います。

 

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それでは早速3日目の授業の様子をご紹介します!

 

アルゴリズム建築講義】13:30〜14:30

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今回は、アルゴリズム建築を扱ううえで必須となる「非線形とは何か?」についての説明です。「非線形」とは、ある形態や現象の底にひそむ原理が“線形(linear)ではない”ということですが、ではそれがどういう点で「線形」と異なるのか?また、さまざまな分野で使われる「非線形」という言葉が、それぞれの分野で具体的にどのような意味で用いられ、どのようなイメージを伴っているのか…など、「アルゴリズム建築」の実践にあたっては避けて通ることができないこのキーコンセプトを、塾長がさまざまな例を取り上げて解説しました。

 

簡単に言えば、「線形」とは「原因と結果が単純な一対一対応にもとづいて予測できる」というものです。シンプルな数学や物理の方程式のように、そのシステムさえ設定されれば、答は自動的に決定されてくるものをいいます(「シンプルな」と書いたのは、数学や物理の方程式でも少し複雑なものになると「非線形」の関係がそこここに現れてくるためです)。一方で【非線形】とは、そういう予定調和的決定が成されない現象が持つひとつの奇妙な状況といえます。システムがシステム自身で自己調整をするようなシステムについての理解です。
これをリズム・計算可能性・自己組織化・散逸構造・セルオートマトン・DNA・チューリングマシンノイマン型コンピューター・ボトムアップ的手法・フラクタル・カオス、その他沢山の言葉と関連付けて説明されました。

 

大切なことは、アルゴリズム建築とは、計画し得ないものを計画する「非=計画」の姿勢だということです。そう言って分かりにくければ「原因と結果の一対一対応を前提とする従来の“計画”から逸脱しつつ、ある幅を持った空間の“質”“様相”へと接近しようとする」設計思想だと言い換えてもよいでしょう(それでも禅問答のようで分かりにくいかもしれませんが(^_^;)、建築塾で学ぶ塾生たちは徐々にその意味が体得してゆくはずです)。だからこそそれは、「私」や「建築家」「(普遍的)人間」等々という「主体」を信じ続けてきた西洋論理主義と相反する東洋思想(相・禅仏教・老子)などと、本当に深い部分で関わりあってくるのです。

 

もっとも、それが何となく理解できたからといって、一足飛びに建築設計に取り入れることは決して簡単なことではありません。ですが、昔ながらの「計画」概念が限界とほころびを見せ始めてきた今日、これから未来を志す建築人にとって「非線形(あるいは非平衡)」という考え方を理解し、それを各自の建築において実践する途を模索することは、は絶対に避けて通れない道なのです。

 

【プログラミング演習】14:30〜16:30

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塾長によるアルゴリズム建築講義の次は、実際にパソコンを使いながらProcessingによるコーディングの技術を学ぶプログラミング演習です。塾生たちは、前回は初めて見るコンピュータ言語の扱いに戸惑っていましたが、それぞれしっかり復習してきたこともあり、少しずつ慣れて前よりスムーズにコードを打ち込めるようになってきました。

 

ところで、今期の受講生にはタッチタイピングできる人と、そうでない人がいますが、プログラミングにはタッチタイピングがとても重要になってきます。

 

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ただでさえ、コードの解析などに時間がかかるのに、コードを打ち込むのにも時間が掛かっていては、なかなかプログラミングの勉強が進みませんよね。大切なのは、じっくり考えて素早くコードを打ち込むことです。早くタイピングできればそれだけ限られた時間を有効に使えますし、勉強する時間も増えるので良いこと尽くしです(*゚∀゚)!前田紀貞建築塾のアルゴリズム建築コースでは、さすがにタッチタイピング自体をじっくり教えることはありませんが、苦手な人のためにタッチタイピング習得に便利なサイトもお勧めしていますので、現在タッチタイピングができない方・苦手な方でも大歓迎です。

 

さて、ここで少しだけProcessingプログラミングの中身についても紹介したいと思います。今回は、Processing習得の1つ目の難関である「forループ」。言語に関わらず、プログラミングにおいて最重要な処理の一つに、コンピュータに同じ処理(演算)をある回数だけ繰り返し行わせる「繰り返し処理」がありますが、Processingにおける「for」はこの繰り返し演算を命令する方法です。

 

例えば、「forループ」を使った簡単なコードを書くと、Processingでこのような2次元グラフィックを描くことができます(゚∀゚)↓↓    

 

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どの絵にも共通して、「あるモノ(描画要素)の繰り返し」が現れていますよね。これが「for」ループでできることの取っ掛かりのイメージを与えてくれる例です。直接グラフィックをいじることなく、「言葉」で指示を与えるだけでコンピューターがこんな絵を描いてくれるなんて面白いですよね。

ちなみに最初のグラフィックはこんな風にProcessingでプログラミングしています。下半分がこのコードの「forループ」の部分で、画面上下のエッジ上にあるランダムな点同士を結ぶ直線を150本描画しています。Illustratorなどの描画ソフトでこれをやろうとすると大変なのは想像に難くありませんが、Processingなら(一度コードを書いてしまえば)左上の「実行」ボタンを押すだけで何パターンでも異なるアウトプットを出してくれます。また、少しコードを改変すれば線の一本一本の色や太さを変化させたり、それぞれの線がフラフラと動くアニメーションにすることもできるんです。

 

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ところでこの「forループ」、考え方だけ聞くと簡単そうに見えますが、特に初めてプログラミングに触れる人には少し頭を慣らす必要があるようで、分かる人にはあっさり分かり、分からない人は理解するのに少しだけ苦労します(実際、講師陣も初めてプログラミングに触れた際にはここが最初の「壁」でした(^_^;))。

この「アルゴリズム建築コース」でも「forループがProcessing学習の最初の難関」と言われていますが、その分塾生一人一人がきちんと理解できるよう、豊富な事例やミニテストでしっかり指導します。今期の塾生たちも、復習をしながらコツコツ理解を進めています。最初の難関、一緒に頑張りましょう!

 

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いかがだったでしょうか?次回は、前田紀貞建築塾の他のコースである設計演習コースの第一課題の講評会があり、アルゴリズム建築コースもいつもの授業はお休みしてこの講評会を一緒に見学します。4ヶ月間の学習の集大成としてそれぞれの「アルゴリズム建築作品」を発表することになるアルゴリズムコースの塾生達にとっては、どのように建築をつくり、どのようにその魅力を相手(聴衆)にプレゼンテーションするのか?を他コースの塾生のプレゼンやそれに対する審査員のコメントなどから吸収し、考えることのできる良い機会です。お楽しみに^^

 

また、この前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コースが気になってきた方や「ちょっと詳細知りたいなと」いう方は、下記URLからこのコースの詳細をご覧下さい↓↓。お問い合わせも随時受け付けていますので、ご遠慮なく(^_^)

 

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】

http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4

 

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴

 

アルゴリズム建築コース2日目

こんにちは^^

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】の講師兼TAの殿村勇貴です!

先週ついに幕を明けた前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コース!

単なるカタチ遊びに終わらない真のアルゴリズム建築の創造を目指して、アルゴリズム建築という未知の相手との戦いがはじまりました!

 

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それではさっそく第二回目の授業の様子を紹介していきます!

 

アルゴリズム建築講義】13:30〜14:30

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先週第1日目の授業では、「アルゴリズム建築への心構え」の概論の後、「コンピュータ・アルゴリズムと建築デザインをどうやって実践的に結びつけていけばよいのか」について前田紀貞アトリエの実作品を例にとって説明されました。

あれこれ小難しいことを述べても、それが実際に建築作品になっていなければ「建築塾」としては物足りないですよね。
「あなたたちはアルゴリズム“建築”について教えているのだから、実際にもちゃんとしたブツとしての建築を作っていますよね?」
という、塾生たちの当然の問いかけに真正面から答えられなくてはなりません。そこで、『アルゴリズム三部作』と銘打たれている前田紀貞アトリエの実作を例に、説明がされました。

 

 

・ I REMEMBER YOU    

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前田紀貞アトリエがコンピュータ・アルゴリズムを本格的に使った最初の作品です。コンピューテーショナル・デザインの最先端をゆくコロンビア大学建築学部(GSAPP)のProxyという設計集団との協同作業によって設計されました。
この作品では、与えられた敷地条件において、1年間の採光量が多くなるような最適化アルゴリズムを記述し、その結果として現われ出てきた空間・形態を解として導き出しました。また、別のアルゴリズムを用いて「記憶を形象化する」という試みもおこなっています。詳細は塾長のブログ記事その①その②にありますので、是非ご覧下さい。


 

 

・ EAST & WEST    

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この作品では、自律エージェント型のアルゴリズムによるアウトプットに基づいて建築の部屋配置(間取り)を決定しています。なお、本作は建築塾第1期塾生の村山理さんとの協同設計でもあるんです。詳しくは塾長ブログの関連記事でご覧ください。

 

 

・ ENISHI RESORT VILLA

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アルゴリズム3部作>最後の一つは、現在台湾に建設中(2015年竣工予定)のホテルです。本作では、施主と建築家(前田)の脳波を携帯型の脳波測定器により測定し、それをモーフィング(形態変換)した形状から建築空間・形態が導かれています。因みに、このプロジェクトは本コースの演習パートの講師を務める建築塾第3期生・辻真悟(CHIASMA Factory)との協同設計です。

他にも、上棟当日の空の写真(空模様)から外壁の質感を導いた「TORUS」
、空や樹木からモザイクタイルのパターンを抽出し製品化した「INAX モザイクタイル プロジェクト」、天空率から建物の形態を導いた「板橋プロジェクト」などの説明も成されました。

 

 

【プログラミング演習】14:30〜16:30

さて、塾長による「アルゴリズム建築講義」で頭を動かした後は、実際にプログラミングをして手を動かす「プログラミング演習」です!

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前回初めてプログラミングの世界を経験した受講生たち。

普段私たちが目にするWEB上のキレイなホームページやギミックは、すべて「コンピュータ言語」によってコンピュータに指示を与えることにより描かれています。また、パワーポイントやillustratorのようなソフトでは、専用のインターフェース(メニューボタン)を使えば簡単に複雑な図形やレイアウト、アニメーションを作ることが可能です。ところが、直接「コンピューター言語」を使って指示(コード)を記述するプログラミングでは、ごく簡単な図形をいくつか画面上に描くだけでも、たくさんのコードを打ち込まないといけないことに面食らったり、「グラフィックソフトを使えばワンクリックでできる作業を、何でわざわざちまちまコードで描かなきゃいけないんだ?」と疑問を抱いた受講生もいたようです。しかし、一見無駄に思えるこの作業が「コンピューターと直接話す」ための入口なのです。講師の辻の喩えでは、外国旅行に行ったときに現地の人と「指差し会話帳」でコミュニケートするか、その国の言葉で直接会話するかの違い、ということになります。前者でもとりあえずの用は足りるかもしれませんが、旅行を楽しむためには、やはりその国の言葉で直接話す方がずっと自由・豊富で、柔軟なコミュニケーションができますよね。コンピュータ「言語」を学ぶ理由は、コンピューターの豊富な能力を引き出す自由度・柔軟性の獲得にあるのです。

 

さて、早速キーボードに向かって・・・と思いきや、この日は最初に前回の授業の宿題「日常にあるアルゴリズムを見つけなさい」について、各塾生が口頭で発表するよう求められました。そもそも「アルゴリズム」とは「ある目的を達成するために記された手順」のことですから、私たちの日常はアルゴリズムで溢れているんですよね。このように、各自の日常を「アルゴリズムのメガネ」を通して捉え直すことで、アルゴリズム的思考が養われるのです。

 

たとえば「料理」を例にとってみましょう。料理のプロセスを簡単なアルゴリズムとして分析してみると、「材料を買う」→「買った材料を切る」→「切った材料を炒める」→「できたものを盛りつける」といったように記述することができますよね。このように、ある料理を完成させるための流れは、一連の操作(群)を一定の順序で並べたものである、ということができます。

 

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この宿題に対して、ある受講生は「洗濯」を例に取って「スイッチを入れる」→「洗濯物の分別をする」…のように手順をこと細かく列挙してきました。

そのほかの塾生からも、日常の何気ないことから、趣味として興味があることなど、さまざまなものがアルゴリズム的な「手順のセット」として分析できることを示す例が挙げられました。皆、私たちの日常が実はアルゴリズムに溢れていることを再認識したようです。

 

さて次に、講師の辻から「コンピュータの正確性」についての話がなされました。

少しでも経験のある人は知っていると思いますが、プログラミングを行なっていると、プログラマ自身が正しくコードを書いたつもりでも、結構すぐにエラーが出てしまいます。プログラミングを学び始めたばかりだと特にそうなのですが、案の定、この日の塾生たちもエラーを連発 (^_^;)。

テキストのサンプルコードを単純にトレースしていても、ちょっとしたタイプミスや不適切な入力位置などでエラーが出てしまいます(たとえばProcessingでは半角スペースと全角スペースも厳しく区別されます)。こんなとき、初学者は皆さん決まって「ちゃんとコーディングしているのに、コンピューターが何か間違っている」という不満顔をするのですが、講師の辻曰く「コンピューターは絶対に間違えない」のです。(少なくとも現在の)コンピュータの言葉は突き詰めれば「0」と「1」だけからなる数列ですから、その意味(指示)はどこを切っても厳密で曖昧さを排したものとなり、コンピュータは「誤る」ことができない―—だから、間違っているのは(命令を受け取って実行している)コンピュータでなく(命令を与えている)人間の方なのです。コンピューターは自分に与えられた命令を、それがプログラマの意図に合致しているかどうかはお構いなしに、ただただ正確に実行しているに過ぎません。

 

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 ですが、初心者には頭痛の種(?)でもあるこの「コンピュータの正確性」こそが、アルゴリズミック・デザインの大きな武器となるのです。ヒューマンエラーさえしなければ、コンピューターは必ず正確な結果(アウトプット)を出してくれるのです。しかも人間には太刀打ちできないスピードで、疲れも知りません(あまりに負荷をかけ過ぎるとフリーズしたりはしますが…(^_^;))。

 

       *       *       *

 

アルゴリズム建築コース」の2日目の講義の様子、いかがだったでしょうか?

次回は「最初の山場・繰り返しループ」に踏み込んで熱血講義の様子をお伝えしていきますので、お楽しみに!

 

また、この前田紀貞建築塾アルゴリズム建築コースが気になってきた方、ちょっと詳細知りたいなって方は、下記URLからこのコースの詳細をご覧下さい↓↓

前田紀貞建築塾【アルゴリズム建築コース】

http://www5a.biglobe.ne.jp/~norisada/SCHOOL/course/index.html - 4

 

 

前田紀貞アトリエ 殿村勇貴